破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。




マサが姿を消した後、代理でエリアマネージャーになったのは“キングオブえらいさん”だった。


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※キングオブえらいさん・・関東の店舗に勤務するものすごいえらいさん。口癖は“キングなんだねぇ、偉いんだねぇ”。



なんでわざわざ関東の人が?と読んでいる人は思うかもしれない。だが以前の担当だった“元AM”も退職してしまい、現在エリア内のマネージャーだけでは賄いきれない状況なのだ。


一体キングオブえらいさんは現在何店舗を担当しているのだろう?自らが店長を務める店には在籍しているもののほとんど出勤することはなく、ほぼ毎日全国を飛び回っているのだという。そんなことで自分の店は大丈夫なのかと思ってしまうが、完璧に育て上げた社員たちによって何一つ問題なく回っているそうだ。


あの人が疲れた顔をしているのを見たことがない。俺より確か10個上のはずだが見た目も若々しく、常にエネルギーに満ち満ちているように見える。


“キング”の名前は伊達じゃない、といったところか。


担当エリアマネージャーとなり色々とやり取りをしていくうちに感じたのは、キングオブえらいさんのレスポンスの圧倒的な早さだった。間違いなく今まで関わったマネージャー達の誰よりも早い。メールを送るとほとんどの場合が即レス、本社への申請が必要な案件も大抵の場合翌日には返信が届いている。また、返信の文面も要点のみを書いた無駄の一切無いシンプルなものばかり。当初思っていたよりずっと仕事がやりやすいと感じている。ネチネチと嫌味ったらしい文章をほぼ毎回付けてくるマサとは雲泥の差だ。


他にも仕事は山ほどあるはずなのに、なぜこんなにも早いのか。仕事が出来る、というのはキングオブえらいさんのような人のことを言うのかもしれない。


つづく


しばらくブログから離れていると、いざ書こうとしてもどんな風に書いていたのか思い出せなくなってしまう。

先月は何があっただろう。少しばかり思い出してみる。



10月某日。

休憩時間に向かいのスーパーへ昼飯を買いに行くと、ふと見知った顔が前を横切るのが見えた。系列店のH店長だ。そういえばすぐ近くに住んでいると以前聞いたことがあった。

『おつかれさまです』

『おーう、破滅くんか。今休憩け?』

H店長はこの日休みで、食料品の“買い出し”に来たのだという。きっと奥さんにお使いを頼まれたのだろう。しばらく立ち話に興じていると彼がふと言った。

『そう言えばさっきブックオフ寄ってきたんやけどな、“マサ”おったわ』

『え、あの人元気にしてたんですか?』

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※マサ‥ブログ主の勤務店を担当していたエリアマネージャー。笑い方に特徴があり、社員たちからは“誘い笑いのマサ”と言われている。現在休職中。

マサが休職したのは8月に入ってすぐのことだった。そこから2カ月以上が経過した今も復帰の話は全く聞こえてこない。マサのいない日常にもすっかり慣れ、H店長に言われるまでその存在を忘れていたくらいだ。

『ちょっと話しただけやけど別に普通やったわ。ビックリしたんやけどあいつ金髪にしてたのよ。やめとけって言いたかったけどなあ〜。おっさんの金髪とか痛々しいにもほどがあるやろ、ほんま』

『へえ、まあそうやって外出れるのなら元気なんですかねえ』

『どうなんやろな。休みに金髪とか夏休みの高校生ちゃうねんから。ほな、俺まだ買うもんあるからおつかれー』

そう言うとH店長はまた買い物に戻っていった。

ひとまず弁当とペットボトルのお茶を手に取りセルフレジへと向かう。商品をスキャンしながら考えていたのはもちろんマサのことだ。休職期間にも関わらず金髪、一体あの男はどこへ向かっているのだろう。全く意味が分からなかった。“夏休みの高校生”というH店長の例えがおかしくて一人で少し笑う。出来ることならずっと休んでいてくれたら最高なのだが。






10月31日(金)

休日。

いつの間にか10月も終わろうとしている。

俺は一体何をしていたのだろう?頭を捻ってもうまく思い出すことが出来ない。ただひたすら来月の準備のために奔走し、突然変更になる予定に振り回され続けていた。おかげで日常業務もすっかりおろそかになってしまっている。売場は荒れる一方、注文は滞る一方だ。

この感じがあと1ヶ月。もういい加減にしてくれないだろうか。

早くゆっくりしたい。一日中寝たい。普通にブログを更新出来るようになりたい。

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