破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

2021年02月

2月が終わっていく。

毎回のことだが、通常の月よりたった2~3日短いだけで本当にあっという間だ。今月は一体何があっただろう。いつものようにただ働いて休みの日はひたすらダラダラして過ぎていった。大したことは何一つしていない。ほとんど部屋の中で過ごしていた。

強いて言えば自炊のバリエーションを増やした月だったか。いつもの焼きそば、ナポリタン、野菜炒めに加え、炊き込みご飯、鶏大根、カレー、麻婆豆腐…など作ったことのない料理に色々トライしてみた。

フライパンで揚げ物が出来ると知って唐揚げも初めて作ってみた。生姜を入れすぎたのか、唐揚げというよりは竜田揚げに近い味になったが、まずまず美味しく出来た。

料理は面倒だが、材料を揃え調理をし、完成に至るというプロセスは楽しい。毎回反省点が残るし、それらを次回に生かせるのも少しずつ自分のレベルが上がるようで面白い。まだまだスマホや本を見ながらの調理ではあるが、今後より一層上達させていきたいと思う。

今日は鶏もも肉で『タンドリーチキン』なるものを作った。カレー粉やケチャップ、にんにくなどで作ったタレに鶏ももを一晩漬け込み、フライパンで焼いた。鶏にカレーの風味がしっかり染み込んで美味い。ビールがあっという間に空になった。

もう冷蔵庫のビールが空だ。またストックを買わないといけない。普段は金麦だったのだが、一度奮発して一番搾りの6缶パックを買ってみると旨すぎて金麦に戻れなくなってしまった。明日はなんとか我慢してまた金麦を再開しよう。

小室の収入が激減しても生活の質を下げられず、散財を続けたKEIKOの気持ちが今ならよく分かる。まあスケールは天と地の差だが。

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ネットで注文していた奥田民生『GOLDBLEND』の中古CDが届いた。

早速部屋のオーディオで鳴らしてみる。おそらく聴くのは20年ぶりくらいになるが、どの曲もすぐに口ずさめるくらいはっきりと覚えていた。当時自分は大学生で、MDに録音したこのアルバムを通学中によく聴いた。曲のバリエーションも豊富で聴いていて飽きない。改めていいアルバムだと思う。

『FAILBOX』、『股旅』、そしてこのアルバムあたりまでは本当によく聴いた。

しかしたった数百円で昔のアルバムを購入出来る今という時代は便利だな。やってることは完全に懐古主義のおっさんそのものなんだが、音楽なんて自分が楽しく聴ければそれでいいのだ。無理してまで新譜を追いかける必要なんてどこにもない。聴きたくなったその時に聴けばいい。

https://youtu.be/c5XdiAYESK8

豊田道倫の新曲『東京のSSW』が良かった。

去年久々に行ったライブでも演奏していた曲だ。その時はあまり記憶に残らなかったのだが、こうやってコロナ渦の東京の風景と合わせて聴くと実に染みる。

しんみりする。

『昔好きな人がいた 思い告げることなくこの街に戻った 何も悔いはなかったけど 歌を聴きながら泣いた』

もう何年も前に別れた人のことをふと思い出した。

最近は店の人員にもある程度余裕があるので有休を頻繁に取っている。

コロナ以前、売上も厳しく人件費もカツカツの頃はろくに休みもとれないこともあった。シフトに入れる人がいないから休日出勤して店を回したことも何度となくある。

もうそんな働き方はうんざりだ。週休2日はもちろんのこと、有休も使える時は使っていこう。それでなくても書店員は祝日もほとんど出勤なのだから。GW、お盆、年末年始、それらのほとんどは通常出勤で、有休など使ったとしても一般の方々より休みは遥かに少ない。

よって、以前と比べるとかなり楽をさせてもらっている。2日~3日出勤すれば休み。月1回は連休もとれる。と言うか自分でシフトを作っているから多少無理やりにでもそうしている。(もちろん他の従業員の勤務状況と照らし合わせて、だが。)

こうして私は休みを充分に取れる日常を手にしたのだった。

しかし、休みを取れたら取れたで今度はやることがなくて持て余している。

休日に穏やかな気分でいられるのはせいぜい午前中までだ。昼飯を食べた後はもう何もすることが思い付かない。ダラダラと横になり続け、ウトウトなどしているとすぐに夕方だ。何かしようかとYouTubeの登録チャンネルをざっと漁る。スマホをいじる。読みかけの本を読む。買ったばかりのオーディオで音楽を聴いてみる。

全てイマイチ集中出来ず続かない。昔はCDを何百枚も買うほど音楽を聴くのが好きだった。今はもはや騒がしく感じてしまって無音の方が快適だな、とすら思う。

外も寒いので出かける気にもならない。

何をして残りの時間を潰すか…考えあぐねた結果スマホの適当な動画でチンポをいじくり回した。

こんなことなら店で働いていたほうがまだよっぽど有意義なのだろう。

『こんなことしてて、いいの?』
うだつの上がらない射精をした後、萎びたチンポが自分に問いかけたような気がした。

先日、現在住んでいる部屋のことで確認したいことがあって管理会社に電話をかけた時のこと。
『はい、ありがとうございます!』元気な女性の声がすぐ返ってきた。

『すいません、△△の部屋を借りている××と申しますが担当の○○さんいらっしゃいますか?』
『あー、○○は既に退職しておりまして…』
『え…?』

驚きでしばらく声を失ってしまった。聞くと年末で退職したとのこと。今の部屋を借りたのが10月頭だからそこからたったの3ヶ月ほどで辞めてしまったことになる。

『あ、そうなんですね、なんか驚きました。理由は…いや、気になるけどそれは聞いたらダメですよね。』
『そうですね、申し訳ありませんが…』

仕方がないのでその女性に用件を告げて電話を切った。

それにしても意外だった。もちろん働いていれば退職することもあるだろう。しかしその担当、自分より五歳も年下の男性だったが、大変熱心に部屋探しを手伝ってくれたし気になることをメールすると即座に返信もくれたし、物腰も柔らかく自分の中で印象は非常に良かった。現在の部屋には満足しており、この人が担当になってくれて良かったと何度も思ったものだ。

何より、部屋探し中の車内では仕事のやりがいを熱心に語っていたじゃないか。『こうやってお客様に喜んでいただける、僕にとって本望ですよ!』なんてニコニコ笑っていたのが芝居だったとは到底思えない。

とはいえ、たった数回しか会ったことのない人だ。本当のことなんて何が分かるというのか。内心は退職する手続きを着々と進めていたのかもしれないし、客と部屋探し中は切り替えてキャラを作っていたのかもしれない。単に独立して自分の会社を立ち上げたのかもしれないし、もしくは不祥事を起こして解雇になったのかもしれない。

いくつもの可能性が脳裏に浮かんでは消えていったが、真相は当然分からない。はっきりしているのはあの人に会うことはもう二度とないということだけだ。

不動産会社のホームページを見ると、スタッフ一覧の中から彼の名前は消えて、別の男性が新たに加わっていた。

『いい部屋を紹介してもらってありがとうございました。』そんな風に感謝を伝えておけばよかったな。

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