最近はスピッツの『フェイクファー』を聴くことが多い。
季節ごとに聴きたくなるアルバムというのは確かにあって、春先には決まってこればかり聴いている。ジャケットのイメージ通り、暖かな日差しが優しく降り注ぐような内容のアルバムだ。アコギの優しい音色に癒される。かと思えばハードロック調の曲が突然現れたりして、メリハリも効いている。スピッツは基本的にダメなアルバムなど1枚もないが、そんな中でも特に好きな作品。
このアルバムを聴くと初めて東京に行ったときのことを思い出す。
確かこれがリリースされたのが1998年の3月だったか。東京の大学に通っていた兄の卒業式を見に行くために家族で上京したのだった。その時に渋谷のタワーレコードで大々的に展開されていたのを今でもよく覚えている。
初めての東京に胸が高鳴ったこと、通りを歩く人の多さに驚いたこと、学生たちでごった返す大学があまりにもキラキラして眩しかったこと、車窓からの景色が新鮮でずっと眺めていたこと…『フェイクファー』を聴いていると色々な記憶が甦ってくる。