仕事終わりにスマホをチェックする。

今日も彼女からの連絡はない。もうこれで３週間音信不通だ。ただ無機質に時刻だけを表示するディスプレイをしばらく見つめた後、深いため息をついた。

数年前に別れた『Xさん』とまた付き合いだしたのは今からちょうど半年前のことだった。別れてからもちょくちょくと連絡は取ったりもしていたのだが、色々あって復縁という形になった。

そこからはまずまず順調にやれていたように思うのだが、先月会って以降明らかに彼女の様子が変わってしまった。即レスだったラインは返信が遅くなり、スタンプだけで済まされることもザラになった。何かあったのかと心配になって電話をすると『今からお風呂入るから…』『明日早いから…』とにべもなく切られてしまう。

最後に会った時もお互いいつもと変わらないように思えたのだが、こちらが気付かないだけで何か嫌な思いをさせてしまったのだろうか。

あまりの急変ぶりに戸惑っていると、数日たってから深夜にラインが届いた。即座に開くと『仕事のこととかで悩んでいて今は落ち着いてラインや電話をする余裕がなくて…』といった内容が書かれていた。

その文面をしばらく見つめ、これはどういう意味なんだろうと考える。

余裕がないのは本当かもしれないが、いくらなんでもそれだけじゃないんじゃないか。先月までは普通にラインしたり電話していたのに。早い話が彼女は俺と別れたいのだろう。それをはっきり伝えるのはしんどいから、こうやって遠回しに『もう連絡してこないで』と訴えているんじゃないだろうか。

それから電話はおろかラインも送ることも出来ないまま、もちろん向こうからも連絡が一切ないまま、３週間が過ぎてしまった。

彼女はいわゆる『自然消滅』に持っていこうとしているんだろうか。

さすがにこれだけ放置されているともうこれはダメなんだろうな、と思う。今すぐにでも連絡をしてはっきりさせてしまいたい。けれど、そこで最後通告を受けるのはもっと怖い…。

いつまで経っても鳴らないスマートフォンの前で途方にくれている。