破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

2021年11月

11月も残り1日。

それにしてもよく人と会った1ヶ月だった。こんなにも休日の予定をギッチギチに詰め込んだことは久しく無かったように思う。楽しい気分にもなったけど、同じくらい消耗してしまった。今は少し休みたい。

来月からはまた通常運転だ。地元の友人らと軽い忘年会をする以外は何一つ予定はない。クリスマス需要で店も忙しくなるだろうし、休日はゆっくり過ごしたいと思う。

本を読んで音楽を聴いて過ごそう。

『平場の月』(光文社文庫)
『東京の古本屋』(本の雑誌社)
『野呂邦蜴古本屋写真集』(筑摩文庫)

最近はこの三冊を読んだ。結構な値段になったけどどれも本当に良かった。

11月も終わろうとしている。

あと1ヶ月で今年も終わりだ。そして来月はとうとう40になってしまう。40か‥考えただけでうんざりする。

もはやため息しか出てこないけれど、ある程度健康に生きてこれただけでひとまずはよしとしようか。そうでも思わないとやってられない。

今月は自分にしてはよく人に会った。10年ぶりに再会した元バイト先同僚、半年ぶりの友人、その他諸々‥。

昨日は大学時代の友人Mと実に8年ぶりに再会した。仕事終わりに駅で落ち合って飲みに行く。店までの道すがら、通りを歩く人の多さに驚いた。

Mの近況や10歳になるという娘の話を聞いて、こちらは懲りずに失恋の話をした。

まだ全く切り替えられていないことや、プレイリストに入っていたスーパーカーの曲のことも話した。

Mはしばらく黙って話を聞いていたが、話がプレイリストのことに及んだところで『おしゃれなことをする人だね』、と一言だけつぶやいたのだった。

前回10年ぶりにバイト時代の元同僚たちと再会した話を書いた。

その席でお互いの近況を聞く流れになり、自分は当然数か月前のふられたことをポツポツと話した。かいつまんでだったけれど、元同僚たち二人は口を挟まず話を聞いてくれた。

そうやって話しながら、『俺は誰かにこの話を聞いてほしかったんだなあ』と思ったりもした。

今回、何年も会っていない知り合いに自分から連絡をとったのも、元はと言えば失恋のショックを契機としていた。別れることなく今も普通に続いていたなら、きっとこの人達とも会うことはなかったのだろう。

そう思うと、元同僚たちとの再会は失恋して唯一良かったことなのかもしれない。

元彼女は今頃どうしているのだろう。

きっと楽しく暮らしているに違いない。お笑いやKPOP、本などに存分にお金を使い、沢山笑っているはずだ。意外ともう新しい相手が出来ていたりして。

共通の知り合いの1人もいなかったから、向こうが何をしていようが全く知るよしもない。

ふと、最後に送られてきた長文メールを思い出した。何度も読んだから中身は大体覚えている。

要約すると‥誰かと一緒に暮らしたり結婚したりすることに向いてないと思ってしまい、その状態のまま俺とズルズル付き合い続けることは申し訳ないと思い、別れることを決めた‥

そんな内容だった。

もちろん、この内容を額面通り受けとる程自分もお目出たくはない。真実は『誰かと』ではなく『俺と』、なのだろう。彼女は俺と一緒に暮らす未来が想像出来なかったのだ。それをはっきり伝えずオブラートに包んでくれたのは彼女の最後の優しさだったのかもしれない。

もう手紙は書かない。プレイリストに曲も追加しない。暗闇に向かってキャッチボールするほど空しいことはないのだ。

今月は出不精の自分としては珍しく人とよく会っている。

先日は学生時代のバイト先の同僚二人とおよそ10年ぶりに再会した。

この二人とはバイトを辞めて就職してからもしばらくはお茶をしたり、飲みに行ったりしていた。けれど年月が経つにつれお互いの仕事も忙しくなり、いつからか疎遠になっていった。時々交わすメールも近況報告くらいの味気ないものになり、そのうちそれすらも途絶えてしまった。

そして気がつくと10年が経っていた。

もう一生会うことはないだろうなと思っていたのだが、色々あって今回の再会が実現したのだった。

さすがに年月が経ちすぎていて当日はうまく話せるのか緊張していた。二人の外見が悪いほうに変わっていないかも少し心配だった。めちゃくちゃハゲてたらどうしよう?めちゃくちゃババアになってたら‥?
実際は二人とも意外なほどそのままで、不安は杞憂に終わった。むしろこの10年で一番変わったのは明らかに自分だった。

10年前と比べると自分は外見も劣化し、性格もよりいっそう暗くなったと思う。考えてみると、この二人と没交渉になっていったのは自分が塞ぎ混んで壁を作ってしまったからじゃないのか?

結局三時間ほど酒を飲みながらこの10年に起こったことを話し合った。二人の話に笑いながらも、きっと長い年月で生まれた距離はもう埋まることはないのだろうなとも思っていた。そして、この3人で集まるのも今日が本当の最後であろうことも。

『じゃあまた10年後。』別れ際、改札の前で冗談めかして二人に手をふった。二人とも笑っていたけれど、ほんとに実現するだろうか。



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エレカシ宮本のソロ最新作を聴いた。

ソロ1stはかなりハマったが、今回は4~5回通して聴いてもういいかなと思ってしまった。どの曲も想定内というか、驚きが無かったというか‥。

正直、アンタが歌旨くてかっこよくてスーパースターなのは充分に分かりましたよって感じだ。お茶の間の人気者になればなるほど肝心の曲のほうはつまんなくなっている気がする。

しかしボーカリストとしての才能は本当に唯一無二で、この声は50点の凡曲を80点の良曲に軽々とランクアップさせるパワーがある。もう一時期の徳永英明のようにカバー職人になるのもアリなんじゃないだろうか。

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