破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

2022年02月

https://youtu.be/spbKflrBl-8


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川本真琴の全音源がストリーミングで解禁された。

真っ先に聴いたのはこの『アイラブユー』だ。

露出が減った後にリリースされた曲なので世間的な知名度は低いのかもしれない。『桜』や『DNA』のような派手さは決して無いけれど、大好きな歌。

この曲を聴くとしんみりする。


https://youtu.be/dDZGWtGgp78FLpBum5VIAYGx24


豊田道倫(以下MT)の新曲が良くてずっと聴いている。

年末のライブでも歌っていなかった曲だ。タイトルに2022とあるから年が明けてから作られたのだろうか。

『嫌いな言葉を 受け入れてしまった 生きるために仕方なく 僕はもう終わった』というサビが一番グッとくるのだが、ここで歌われる『嫌いな言葉』ってどんな言葉だろう?と少し考えた。

他人を嘲笑ったりする言葉だろうか。例えば職場で誰かがその場にいない同僚のことをバカにして笑っていたとする。嫌だなと思いながらも注意出来ず愛想笑いでやり過ごしたり‥そんな場面を思い浮かべた。

大人になればそんな瞬間はいくらでもある。いちいち目くじら立てず受け流しておいたほうが楽だから、大抵の人はそうするだろう。自分ももちろんそうだ。それを『僕はもう終わった』なんていささかナイーブ過ぎるんじゃないか。

しかしそんな風に歌えるMTにまたグッとくるのだった。

もう2か月近くMTのライブに行っていない。早く新しい歌が聴きたいと思う。

11月も終わりにさしかかったある日のこと。

二人連続でうまくいかずもうダメかなと思っていたところ、珍しく女性側からいいね!が届いた。

五歳年下の人だった。プロフィールを読む限り趣味や食の好みも似通っていて、おまけに顔も可愛らしい。ただし『離婚歴あり』とあった。

バツイチの人かあ、としばらく悩んだがこの際そんなことは言っていられないとOKし、晴れてマッチング成立となった。子供がいるとは記載されていないし別に構わないだろう。大体離婚歴があるからといってなんだと言うのだ。過去は誰にだってある。

すぐに向こうからメッセージが来てやりとりが始まった。毎回文章の量がかなり多く、こちらの書いていること全てに反応してくれる。たった二行くらいのあっさりした返信をする人も多いなか、この熱心さは嬉しく思った。こちらもそれに応えようと長文を毎回送る。その内に、この人にぜひ会ってみたいという気持ちが強くなっていった。

2週間ほどそのようなやりとりを続けたあと、そろそろ会いましょうかと切り出してみた。二つ返事でOKされ、日にちや場所の相談をする。これはかなり楽しみだなと期待していると、相手から思わぬ返信が来た。

『お会い出来るのが楽しみです。あと、先に言っておきますが私には子供がいます。』

これにはさすがに閉口した。

先に言うどころか、それはプロフィールの時点で絶対書いておくべきことじゃないのか。それならこちらもいいね!に応えることは無かったのに。なぜそんな大事なことを会うことが決まってから言ってくるのだろう。最初からプロフィールに記載していたらマッチングしなくなることを恐れていたのか。

いずれにせよ、他人の子供を可愛がれる甲斐性は自分には全くない。うまく言葉を選んでお断りのメールを送った。


11月はもう1人マッチングアプリの人と会った。

3つ年下で、警備会社の事務をしているという。プロフィールを見る限り音楽や漫画の好みが近く、話題に困ることはなさそうだ。写真はぼやけていたり、横顔だったりしてよく分からなかった。

何度かメッセージのやり取りをしただけで、向こうから会いましょうと言われ喫茶店でお茶をすることが決まった。ここまでで最初のコンタクトから数日。自分にとっては拍子抜けするほどの早さだ。

しかし、いざ実際に会うとスムーズにはいかなかった。色々と頑張って話題をふったり話したりしたが、会話が広がらない。質問をしても一言で終わる。挙げ句こちらが話している途中でフワ~ッとあさっての方向を見る始末だ。こりゃダメだなと思った。

メッセージの時は絵文字なども使ってあんなにハイテンションだったのだが。よっぽど実際に話すとつまらなかったのだろうか。ひとまずLINEの交換は出来たものの、大人しく引き下がったほうがいいなと思わされてしまった。

その後、しばらくはLINEのやり取りを続けた。不思議なものでLINE上では以前のメッセージのようなハイテンションな文章が返ってくる。これはアリなのかナシなのかどっちなのだろう?判断に迷った。

しかし、数日経つと返信のペースが目に見えて遅くなってきた。1日後だったものが2日後に、それが3日後になり‥。とうとう返信がないまま5日たってしまった。

さすがにここまで来ると諦めもつく。きっと他にやり取りしている男と上手くいったのだろう。潔く諦めて他の人を探そうか‥。

そう思ったものの、最初に会った時のやる気のない態度、そしてLINE放置の流れを思い出すと腹が立ってくるのも事実だった。ここまでコケにされるのならもういっそのことチンポの画像でも送りつけて終わらせてやろうか。

そう思いベルトに手をかけた時、LINEの着信音が鳴った。見るとその人からで、内容は思った通り、他の男と上手くいったとのことだった。

こうやって律儀に報告してくれるだけ真面目な人だったのかもしれない。チンポ画像を送りつけることは辞め、『おめでとうございます。お幸せに!』とだけ返信してその人のアカウントを消去した。




2月11日(金)

休日。

喫茶店、スーパー、掃除、洗濯のいつものルーティーン。昼食を済ませた後は部屋で文庫本を読んで過ごした。

一息ついてコーヒーを淹れる。フィルターから抽出されるのを待ちながら昨年のことを思い出していた。

11月のことだ。懲りずにまた始めたマッチングアプリで知り合った人とメッセージのやり取りを続け、結果2回会った。

1度目は喫茶店でお茶をしながら3時間ほど話し、2度目は相手の地元で半日過ごした。美術館で展示を一緒に見たり、街を歩きながらあれこれ話したり。いわゆる普通のデートは久々だったのでそれ自体は楽しかったのだが、心のどこかでは『俺は何やってるんだろう』と思っていた。

当時はまだまだ失恋を引きずっている頃だ。何を見ても、どこに行っても『あの人ならどんな感想を言うんだろう』、そればかり気になってどうしようもなく寂しくなってしまった。もうそんなことを考えても仕方ないというのに。

ダメだな、と思った。こんなことを考えながらアプリの相手と会い続けるのは失礼だ。とても良い人でまた会いましょうと言ってくれていたが、数日間考えてこちらからお断りの連絡を入れた。

あれからもう3ヶ月か。

とっくに冷めていたコーヒーはやけに苦く、胃がムカムカして仕方なかった。





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