4月某日。
休日の朝、いつものように喫茶店に向かうと月末からの値上げを告知するPOPが目に入った。
いずれそうなるだろうと覚悟はしていたが、やはり現実になるとショックを受けてしまう。果たしていくら上がるのだろう。これまでは休みの度に必ず行っていたが、いよいよ頻度を減らさないといけないのかもしれない。
何より苦しいのは、この値上げがまだ序章に過ぎないであろうことだ。休日ごとに利用していたのが2回に1回に。そのうち3回に1回に。こうやって心は蝕まれていくのだろう。
こんなことなら書店員なんてさっさと見切りをつけて、もっと給料のいい仕事を見つけておけばよかったなと思う。けれどもう何を言っても遅すぎる。
自分はいつだって取り返しのつかないことになってから後悔してばかりだ。
いつかマッチングアプリで見かけた女性がプロフィールにこんなことを書いていた。
『お相手の年収は、最低でも600万円以上を希望します。貧乏だと、こころも貧しくなってしまうからです。』
そこまではっきり書かなくてもいいだろうが、と当時は腹が立ったものだ。しかし今になって思う。その女子の書いていたことは何ら間違っていなかったということを。
『ぼくはびんぼうなので、こころもまずしくなってしまいました。』
一人っきりの部屋で呟いてみた。もちろんその声に反応する者はなく、外をバイクが走り去る音だけが聞こえてくるだけだった。
休日の朝、いつものように喫茶店に向かうと月末からの値上げを告知するPOPが目に入った。
いずれそうなるだろうと覚悟はしていたが、やはり現実になるとショックを受けてしまう。果たしていくら上がるのだろう。これまでは休みの度に必ず行っていたが、いよいよ頻度を減らさないといけないのかもしれない。
何より苦しいのは、この値上げがまだ序章に過ぎないであろうことだ。休日ごとに利用していたのが2回に1回に。そのうち3回に1回に。こうやって心は蝕まれていくのだろう。
こんなことなら書店員なんてさっさと見切りをつけて、もっと給料のいい仕事を見つけておけばよかったなと思う。けれどもう何を言っても遅すぎる。
自分はいつだって取り返しのつかないことになってから後悔してばかりだ。
いつかマッチングアプリで見かけた女性がプロフィールにこんなことを書いていた。
『お相手の年収は、最低でも600万円以上を希望します。貧乏だと、こころも貧しくなってしまうからです。』
そこまではっきり書かなくてもいいだろうが、と当時は腹が立ったものだ。しかし今になって思う。その女子の書いていたことは何ら間違っていなかったということを。
『ぼくはびんぼうなので、こころもまずしくなってしまいました。』
一人っきりの部屋で呟いてみた。もちろんその声に反応する者はなく、外をバイクが走り去る音だけが聞こえてくるだけだった。