※12年前の話です。
思いを告げてからもAさんとのメールのやり取りは以前と変わらず続いていた。たまに誘われて飲みに行ったり、遊びに行ったりすることもあったが特にこないだの出来事が話題になることもない。自分の告白などまるで無かったかのような雰囲気だ。どう思っているのか何度も聞いてみようかと思ったが、白黒はっきりつけられて完全終了するのが怖いから黙っていた。
これはもう脈なしだろうか。半ばそう思いながらも諦めきれない自分もいて、2つの感情に板挟みになりながら毎日を過ごしていた。
エリアマネージャー(以下AM)に話があるとメールをしたのはそんな時だった。アドバイスなどは別にいらない。この悶々とした気持ちをひとまず誰かに聞いてほしかった。『いいよ!飲みにいこうか!』とすぐ返信があり、数日後会うことが決まった。
そして当日。居酒屋で落ち合いしばらくとりとめのない話をした後で本題に入る。実は最近好きな人がいて‥と切り出すと恋愛話が好きなAMは『いいねぇ!』と身を乗り出してきた。
Aさんの名前は出さず、ざっくりとここまでの流れを説明する。
『なるほど、飲みとか遊びに行ったりは二人なの?』
『はい、二人で行ってます。』
『おー、いい感じだと思うけどなー。』
『まあ、そこから進展しないといいますか‥』
なるほどなあ、とまた言いながらAMはコーラのおかわりを店員に告げた。酒が一滴も飲めないAMは飲みに行っても常にソフトドリンクを頼んでいた。
『まあでも、楽しそうでいいじゃない』
AMの穏やかな笑みを見て、やっぱりこの人に話して良かったなと思った。変に茶化したり、頼んでもいないのに余計なアドバイスをしてきたりする人も中にはいる。大事な話をするには相手をよく見極めないといけない。
新しいコーラを一口飲んだAMが口を開いた。『それって仕事繋がりの人?もしかして俺も知ってる?』
AMとAさんは過去に同じ店で働いていたことがある。あえて名前は出さずにいたが、まあ別にこの人ならいいかと言ってみることにした。
『まあ、そうですね。あんまり言わないでほしいんですけどAさんなんですよ。』
そう告げた時、なぜか一瞬だけAMの顔から表情が消えたように見えた。
つづく
思いを告げてからもAさんとのメールのやり取りは以前と変わらず続いていた。たまに誘われて飲みに行ったり、遊びに行ったりすることもあったが特にこないだの出来事が話題になることもない。自分の告白などまるで無かったかのような雰囲気だ。どう思っているのか何度も聞いてみようかと思ったが、白黒はっきりつけられて完全終了するのが怖いから黙っていた。
これはもう脈なしだろうか。半ばそう思いながらも諦めきれない自分もいて、2つの感情に板挟みになりながら毎日を過ごしていた。
エリアマネージャー(以下AM)に話があるとメールをしたのはそんな時だった。アドバイスなどは別にいらない。この悶々とした気持ちをひとまず誰かに聞いてほしかった。『いいよ!飲みにいこうか!』とすぐ返信があり、数日後会うことが決まった。
そして当日。居酒屋で落ち合いしばらくとりとめのない話をした後で本題に入る。実は最近好きな人がいて‥と切り出すと恋愛話が好きなAMは『いいねぇ!』と身を乗り出してきた。
Aさんの名前は出さず、ざっくりとここまでの流れを説明する。
『なるほど、飲みとか遊びに行ったりは二人なの?』
『はい、二人で行ってます。』
『おー、いい感じだと思うけどなー。』
『まあ、そこから進展しないといいますか‥』
なるほどなあ、とまた言いながらAMはコーラのおかわりを店員に告げた。酒が一滴も飲めないAMは飲みに行っても常にソフトドリンクを頼んでいた。
『まあでも、楽しそうでいいじゃない』
AMの穏やかな笑みを見て、やっぱりこの人に話して良かったなと思った。変に茶化したり、頼んでもいないのに余計なアドバイスをしてきたりする人も中にはいる。大事な話をするには相手をよく見極めないといけない。
新しいコーラを一口飲んだAMが口を開いた。『それって仕事繋がりの人?もしかして俺も知ってる?』
AMとAさんは過去に同じ店で働いていたことがある。あえて名前は出さずにいたが、まあ別にこの人ならいいかと言ってみることにした。
『まあ、そうですね。あんまり言わないでほしいんですけどAさんなんですよ。』
そう告げた時、なぜか一瞬だけAMの顔から表情が消えたように見えた。
つづく