6月28日(水)

休日。

この日はなんばハッチでsyrup16gを観た。今回は20年前のアルバム『ヘルシー』の再現ライブである。個人的には一番熱心に彼らの音楽を聴いていた頃で、発表されてから真っ先にチケットを予約した。

開演10分前に会場に着き(最初勘違いしてZeppなんばに行ってしまった)、客席を見渡す。自分と同じアラフォー世代が多いように感じたが、若い人もちらほらいたようだった。BGMはずっとジョージ・ハリスンの『オールシングスマストパス』が流れていた。

(以下感想箇条書き・ネタバレあり)














・本編は『ヘルシー』を曲順通り演奏。次の曲が分かっているため意外性は全くないが、改めて捨て曲など一切ない恐ろしい密度のアルバムだと思った。さすがマキシシングルの予定が曲が出来まくって最終的に15曲入りのアルバムになっただけはある。

・自分の立ち位置が悪かったのか、五十嵐のボーカルが楽器の音に負けている気がして聞き取りにくく、ちょっと残念だった。

・バンドは昨年のレミゼツアーに引き続き調子良さげに見えた。ツアーグッズのタオルで何度も顔をふく五十嵐。『ふっかふかだぁ～！！』と白々しくはしゃぐ姿に笑ってしまった。

・相変わらずリズム隊は鉄壁という言葉が相応しい隙のなさ。どうしてもこの二人に隠れがちだが、五十嵐のギタープレイもそうとう天才的だと思うのだけど。

・キタダマキかっこよすぎ。ルックスもクールな佇まいもベースさばきも全てがカッコいい。巨漢の男性客が前にいたせいでが指使いよく見えなくてかなりテンションが下がった。

・アンコール1回目はレミゼから3曲(『深緑のモーニンググロー』、『来世はお煎餅屋さん』、『レミゼブルー』)、2回目は『INM』、『変態』、『scene　　through』。
公演毎にアンコール曲を変えていると聞いていたので何をやるか気になっていたが、大当たりやんけ！！
3曲とも自分的シロップベストに必ず入る曲だったのでめちゃくちゃ嬉しかった。特にscenethrough！！！シロップ史上一二を争う大大大名曲やんか…イントロ鳴った瞬間この日最もテンションが上がったのは言うまでもない。

総じて、最高でした。このツアーが終わればバンドはどうするのだろう。五十嵐も調子良さそうだし、レミゼに続く新曲が聴けるのもそう遠くないのでは？と勝手に思っている。

ようやくM君のアパートにたどり着いた。

部屋に入り買ってきた酒やお菓子を適当に広げ、3人での家飲みが始まった。今となればそこで何を話したのかは全く覚えていない。ただし、アパートへと歩く道中で1つだけ決めていたことがあった。

寝てしまおう。

ある程度の時間が過ぎたところで酔いに任せて眠ってしまうのだ。そうすれば、M君も告白という当初の目的を問題なく遂行することが出来るだろう。そのまま朝まで眠り続け、目が覚めた頃には全てが終わっている。俺はそのまま何事も無かったように帰宅する。

もう、残された道はそれしかないだろう。

M君はゆいちゃんに告白出来てニッコリ、俺は気まずいシーンをスルー出来てニッコリ。我ながらパーフェクトな作戦じゃないか。やたら固いさきいかを咀嚼しながら俺は１人ほくそ笑んだ。

家飲みを始めて１時間ほどが経過した。時刻は既に0時を過ぎている。ゆいちゃんはM君のアパートのほど近くに下宿しているそうで、まだまだ帰る気配は無さそうだった。

そろそろ頃合いだと思った。『俺、なんか酔い回ってきたしちょっと横にならせてもらうわ…』さも自然な風を装って呟いた後、M君のベッドの縁に沿うように寝転がり、２人に背を向ける。

『大丈夫？』M君が駆け寄りさっと毛布をかけてくれた。小声で礼だけ伝え、頭からすっぽりとそれを被る。視界は完全に闇に包まれた。

これでいい。M君グッドラック、邪魔者は去るよ。何も聞かないから安心してミッションコンプリートしてくれ。このまま俺は眠るんだ、朝まで…。

・・・。

・・・・。

・・・・・。


もちろんこの状況で眠れるはずなどなかった。

むしろ緊張と興奮で頭はバッキバキに冴え渡っている。なんとか眠ろうと思えば思うほど意識は覚醒の度合いを強めていくのだった。

それでも寝返りを打つのも我慢して呼吸だけ繰り返していると、どうやら2人は俺が完全に寝付いたと思ったようだった。毛布越しに会話が聞こえてくる。

『破滅くん寝ちゃった？』
『そうみたいだね、だいぶ飲んでたみたいだし』

そこからはこちらを気遣ってか、2人はグッと声のトーンを落としたようだった。しばらく他愛もなさそうな話を続けた後、M君が言った。

『あのね、ちょっと渡したいものがあるんだけど』

ガサゴソと紙袋を漁るような音がする。

『え、何これ…』

どうやらM君がプレゼントを渡しているようだ。しばらくすると、『え、こんな高そうなの受け取れないよー』とゆいちゃんが言うのが分かった。

いよいよM君が勝負に出たのだ、俺は思った。

一体何をあげたのだろう？高そう、ということはアクセサリー、指輪とか？目を開けて確かめたい衝動を必死に抑えながら耳をそばだてていると、M君は言った。

『ゆいちゃん、ずっと前からあなたのことが好きでした』

※一部記憶違いがあったためセリフを修正した。


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6月27日(火)

来る24時間連続ブログ更新のために事前準備を重ねている。毎日欠かさず飲んでいた酒を絶ち、筋トレをしてから寝るようになった。そして今日は友人数名に一括送信でLINEを送った。

『来月14日、24時間連続ブログ更新にチャレンジするから応援よろしく頼むわ。』

反応は以下の通りだ。

・え、ブログやってたの？
・ブログとかよくわからんけどまあ頑張ってくれや。
・また俺のことネタにするつもりか？いい加減訴えるぞ。
・既読スルー
・未読スルー

全く、こいつらの俺への興味のなさは清々しいほどだ。少しでも好意的な内容が返ってきたらURLを教える覚悟は出来ていたのだが。まあこれくらいあっさりしているほうが逆にいいのかもしれない。

この誰一人興味ないチャレンジ、無事成功させて奴らに報告するしかないだろう。

今日の夕方バイトは4回生の清水さん(仮名)だった。彼女がシフトに入っている時は安心して自分の仕事に専念することが出来る。要領がよく、任せた仕事はそつなくこなすことが出来、おまけに+αの提案さえしてくれるという本当に優秀な人だ。何よりお客様対応が抜群で、どんな人にも百点満点の笑顔で接客が出来るのだった。

こんな人を企業がほおっておくわけがない。『ちゃんと内定もらえるか心配なんです～』などと不安そうにしていたのも束の間、就活を始めてわずか２ヶ月で第一希望の内定をゲットしたと聞く。

パート主婦Lさん退職後、必然的にレジ閉めを任せる人材を決めなければならなかったのだが、どう考えても清水さん以外に相応しい人はいなかった。彼女も快く了承してくれたので、来月はみっちり教え込むつもりだ。

まだまだ不安は多いが、一筋の光明が差し込んだような気がしている。



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