来月、昔のバイト先の先輩‘キングさん’(仮名)に誘われとある人気バンドのライブに行くことになった。
『じゃあ○○日、チケット取ったから頼むわ』
『ありがとうございます』
自分も昔から大好きなバンドである。チケットは当然のように速攻でソールドアウトしたらしい。ファンクラブに入っているキングさんだからこそ確保出来たのだろう。この人には多少イライラさせられることもあるが、貴重な機会にありがたく乗っかろうと思った。
ちなみにキングさんとは以下のような人物である。
そうと決まればシフト作りだ。来月は最大の繁忙期とはいえ、ここは絶対に休まなければならない。帰りは遅くなるだろうから、出来れば翌日も休みにして万全の状態で臨みたい。ひとまず連休を指定し、それをベースに他従業員の時間を組み込んでいく。
そこまで考えて、ふと思い立ちバンドのホームページにアクセスする。ライブ日程を確認すると…
△△日
○○日(キングさんの指定した日)
同じ会場での2日連続開催だった。さすがに大丈夫だろうとは思うが、念には念を入れて『ライブって2デイズですけど前言ってた通り○○日のほうで大丈夫ですよね?』とキングさんにLINEを入れる。
慎重になるのは理由があった。キングさんは昔からイージーミスが多い人なのだ。集合時間を間違えることも度々あるし、こちらの話が伝わっていないこともある。だいぶ前に1度だけ夏フェスに一緒に行った時は、『チケットまとめてこっちで買っとくわ』と言っておきながらフタを開ければ自分の分だけしか買っていないこともあった。
(結局仕方がないので泣く泣くダフ屋から購入した。)
そんな過去の経緯があるため、あまり信用していないのである。しかしあの夏フェスはこっちもムカついてかなり険悪な空気になったなあ…そんなことを思い返していると、『○○日で間違いないぞ、よろしくです』と返信が届いていた。
ようやく一安心し、残りのシフトを埋め始める。ライブ翌日は人が足りていなかったが、募集をかけ朝メンバー達と交渉し、なんとか連休を取ることが出来た。最繁忙期で心配だったが他の不足日もほぼ埋まり、無事期日までにリリースを完了させほっと一息つく。
『皆さん、協力してくれてありがとうございます』
不足日や調整に名乗りを挙げてくれたメンバー一人一人に俺は頭を下げた。
それが数日前の出来事だ。
レジ締めを終わらせ、この日もいつものように釣銭を金庫に入れる。ようやくシフトも完成させたし、あとは12月をなんとか乗り切るだけだな…そんなことを考えながらロッカーを開けスマホをチェックすると、キングさんからLINEが届いていた。
『破滅ホントにスマン…ライブの日程間違えてて○○じゃなくて△△日だったわ…
今から変更出来る?』
『殺したろかっっっっっっっ!!!!』
誰もいないバックルームに俺の絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。
『じゃあ○○日、チケット取ったから頼むわ』
『ありがとうございます』
自分も昔から大好きなバンドである。チケットは当然のように速攻でソールドアウトしたらしい。ファンクラブに入っているキングさんだからこそ確保出来たのだろう。この人には多少イライラさせられることもあるが、貴重な機会にありがたく乗っかろうと思った。
ちなみにキングさんとは以下のような人物である。
そうと決まればシフト作りだ。来月は最大の繁忙期とはいえ、ここは絶対に休まなければならない。帰りは遅くなるだろうから、出来れば翌日も休みにして万全の状態で臨みたい。ひとまず連休を指定し、それをベースに他従業員の時間を組み込んでいく。
そこまで考えて、ふと思い立ちバンドのホームページにアクセスする。ライブ日程を確認すると…
△△日
○○日(キングさんの指定した日)
同じ会場での2日連続開催だった。さすがに大丈夫だろうとは思うが、念には念を入れて『ライブって2デイズですけど前言ってた通り○○日のほうで大丈夫ですよね?』とキングさんにLINEを入れる。
慎重になるのは理由があった。キングさんは昔からイージーミスが多い人なのだ。集合時間を間違えることも度々あるし、こちらの話が伝わっていないこともある。だいぶ前に1度だけ夏フェスに一緒に行った時は、『チケットまとめてこっちで買っとくわ』と言っておきながらフタを開ければ自分の分だけしか買っていないこともあった。
(結局仕方がないので泣く泣くダフ屋から購入した。)
そんな過去の経緯があるため、あまり信用していないのである。しかしあの夏フェスはこっちもムカついてかなり険悪な空気になったなあ…そんなことを思い返していると、『○○日で間違いないぞ、よろしくです』と返信が届いていた。
ようやく一安心し、残りのシフトを埋め始める。ライブ翌日は人が足りていなかったが、募集をかけ朝メンバー達と交渉し、なんとか連休を取ることが出来た。最繁忙期で心配だったが他の不足日もほぼ埋まり、無事期日までにリリースを完了させほっと一息つく。
『皆さん、協力してくれてありがとうございます』
不足日や調整に名乗りを挙げてくれたメンバー一人一人に俺は頭を下げた。
それが数日前の出来事だ。
レジ締めを終わらせ、この日もいつものように釣銭を金庫に入れる。ようやくシフトも完成させたし、あとは12月をなんとか乗り切るだけだな…そんなことを考えながらロッカーを開けスマホをチェックすると、キングさんからLINEが届いていた。
『破滅ホントにスマン…ライブの日程間違えてて○○じゃなくて△△日だったわ…
今から変更出来る?』
『殺したろかっっっっっっっ!!!!』
誰もいないバックルームに俺の絶叫が響き渡ったのは言うまでもない。