鏡で老けた自分の姿を見ていると気が滅入るようだった。もう服などどうだっていい。きっと試着をしたところで何一つ似合わないだろう。
Oのほうをチラリと見ると、まだ店員とあれこれ話し込んでいるようだった。何やら2種類のジャケットのどちらにするかを迷っているようだ。しばらくは放っておいても大丈夫だろう。店を出て軒下に立ち、目の前を通過する人たちをぼんやりと眺める。アウトレットに来るだけあって皆服装には気を使っているように見えた。彼らのほとんどが家族連れやカップルで、男同士、ましてや中年の2人連れなどほとんどいない。またしても自分がひどく場違いな存在のように思えた。
『おい、破滅!ちょっと見てぇや!』
なんともいたたまれない気分になっていると、店の中からOが俺を呼ぶ大声が聞こえてきた。仕方なく戻ると、Oが先程のジャケット2つをこちらに見せながら笑顔で言った。
『これ迷ってるんやけどさぁ、どっちが似合うと思うよ?』
お前は彼女か‥。色は2つともベージュで、濃いか薄いかだけの違いのようだった。正直なところどっちだっていい。自分で決めりゃいいじゃねえか‥内心呆れたが、無下にすることも出来ず律儀に答える。
『うんまあ、どっちも似合うんじゃないか?』
『おぅ、そうけぇ?』
俺もなぜ彼氏みたいな受け答えをしているのだろう。この状況に気恥ずかしさを覚えたが、Oはそんなことを頓着する様子もなく店員と楽しそうに話し続けている。いいなあ、と思う。俺とは全然違う。同じ独身中年だが、こいつには卑屈なところが全く無い。
自分が情けなかった。ネガティブで、常に他人の目ばかり気にして。
結局Oは散々迷った挙げ句、片方のジャケットを五万で購入した。店員に見送られながら満足そうに店を後にする。
俺は最後まで何も買わなかった。
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お前は彼女か‥。色は2つともベージュで、濃いか薄いかだけの違いのようだった。正直なところどっちだっていい。自分で決めりゃいいじゃねえか‥内心呆れたが、無下にすることも出来ず律儀に答える。
『うんまあ、どっちも似合うんじゃないか?』
『おぅ、そうけぇ?』
俺もなぜ彼氏みたいな受け答えをしているのだろう。この状況に気恥ずかしさを覚えたが、Oはそんなことを頓着する様子もなく店員と楽しそうに話し続けている。いいなあ、と思う。俺とは全然違う。同じ独身中年だが、こいつには卑屈なところが全く無い。
自分が情けなかった。ネガティブで、常に他人の目ばかり気にして。
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