破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

2025年06月

6月30日(月)

今月の売上は残念ながら前年比を下回ってしまった。あと一歩のところまではいったものの後半になるにつれて勢いが落ち、そのまま盛り返すことも出来ず終了した。特に土日が今一つ跳ねなかったのが痛い。このひどい暑さで外出を控える人が増えたのだろうか。

7月に期待、と言いたいところだが売上が上がる要素などもうどこにも無いような気もする。最近レジをしていて特に思うのは本の高さだ。本当に高くなってきている。手軽に買えた文庫本や雑誌もいまや千円超えが当たり前、ハードカバーに至っては2000円を超えることもザラになってきた。先日など、町屋良平という作家の最新刊をたまたま手に取って仰天した。まさかの1冊で3000円超えである。それもとんでもなく分厚い、とかでもなく一見するとごく普通のハードカバーである。何か他に理由があるのだろうか。さすがにそこまでいくと好きな作家ですら買うのを躊躇う人も出てくるのではないか。

ただでさえ売上が全国的に下がっているのに、いまや返品の運賃も大幅にアップして普段の注文にも神経質にならざるをえない状況だ。秋になればまた最低賃金の改正があるはずで、店の運営もより一層厳しくなるのだろう。

なんかもう、良い要素なんて何一つ無いなと思う。スマホを開けば書店の閉店を伝えるニュースばかり。今の勤務店もいつまで存続出来るのだろうか。

そろそろ今後の身の振り方を真剣に考える時期なのかもしれないな、そんなことを思った。

仕事から帰って飲む一本の缶ビール、心安らぐのはこの僅かな時間だけかもしれない。ほろ酔い気分で天井を見上げた後、ふと俺は思う。シラフで生きるにはこの世界はなかなかにしんどいね。


120b71d7f13b54371adb6789abaca73e_t

6月28日(土)

ライブドアブログから『編集部の推し』がいつの間にか無くなっていた。

理由は不明だが、もういちいちチョイスするのが手間になってしまったのだろうか。気まぐれにアクセスして普段は馴染みの薄いブログを読むのがちょっとした楽しみだったので、残念に思う。

このコーナーでは自分のブログも過去に何度か選ばれたことがある。その時ばかりは普段雀の涙ほどの訪問者数が爆増し、翌日のカテゴリーランキング1位をかっさらったりしたものだった。そんな『ライブドアブログドリーム』ももう起こることはない。

いつまで経っても悲しいほどに過疎状態のこのブログ、新たな読者を増やすにはどうすればいいのか‥そんなことを考えながら駅までの道を歩いていた。今日もまたふざけたような暑さだ。梅雨なんてものはあと数年もしたら消滅するんじゃないか。

ライブドアブログがいつまで存在するかは分からないが、今後も小さなマイナーチェンジは繰り返されていくのだろう。それならいっそのことランキング自体廃止にしてくれないかな、と思う。もうその方が皆のびのびと更新出来るんじゃないか。動きのないブログがなぜかいつまでも上位にのさばっている鬱陶しさからも解放されるだろう。あとは目に入るだけでも不快なブログを非表示に出来る機能。これが実装されたらかなり助かるのだが。

いかがでしょう、ライブドアブログさん。


今日は休配日で入荷は無い。昼過ぎに出勤し書評の在庫チェックを手伝った後はひたすら売場整理と残務処理に明け暮れた。その間にもレジの応援ベルは鳴り、問い合わせで声をかけられ、作業は度々中断を余儀なくされる。

このところやることが多すぎて自分を見失いかけている。はっきり言って何から手を付けていいのかも確信が持てず途方に暮れている状態だ。数日後には社員会議もあるのでその準備も進めていかなければならなかった。エリア内の全ての社員が参加する重要な会議だ。『キングオブえらいさん』も、天敵『誘い笑いのマサ』ももちろん参加する。ぬかりのないよう、万全の状態で臨みたいものだが。


疲れて帰宅しおそるおそるアパートの扉を開けると、不思議なくらい小バエはいなくなっていた。スプレーが効いたのだろうか?ホッと一安心し食事の準備にさしかかる。それにしても昨晩だけで何匹の小バエを殺しただろう。気が立っていたとはいえ彼らには申し訳ないことをしたと思った。命の価値なんて人間も虫も変わらないはずなのに。


images (95)




6月27日(金)

参ったなあ・・。

部屋が完全に小バエにロックオンされてしまったようだ。少し前までは1〜2匹が目に付く程度だったので特に気にしていなかったのだが、昨夜から一気に潮目が変わった。仕事から帰宅し電気を付けるとシンクに何十匹もの小バエがビッシリと、まるで俺を出迎えるように列をなしていたのである。 慌ててコバエ対策用のスプレーを噴射したが、奴らはまるで気にすることなく自由気ままに飛び交っている。

きっと、三角コーナーの生ゴミをしばらく放置していたのが悪かったのだろう。全く、だから夏は嫌なんだ。一向に収まる気配のない小バエの群れに俺は更なるスプレーを噴射した。3回、4回、5回・・気分は映画『HANA-BI』で殺人犯の薬師寺保栄に銃弾全てを打ち込む北野武だ。そのうちあたりはトイレの芳香剤のようなきつい臭いが漂い始めた。こんな状況で自炊など出来るはずもない。結局諦めて冷凍チャーハンで済ませてしまった。

チャーハンを食べながら明日にでも対策用具を買いにいかなければならないな、と思った。それも生半可なものではない。根こそぎ排除出来るような強力なものだ。

やってやる。俺は必ずやってやる。

そうやって考えているうちにもテーブルの近くに小バエが何匹もやってくるのだった。きっとスプレーまみれになったキッチンから流れてきたのだろう。手で払いのけるものののらりくらりとかわし続けいつまでも離れようとしない。そのうち奴らは味をしめたのか、テーブルの上を徘徊し始めた。たたき潰そうと手を伸ばすとこちらを嘲笑うかのように素早く飛び去っていく。しばらくするとまたテーブルを徘徊しだす。もはや俺は完全に舐められているようだった。

『クソが・・』

これはもうやるしかない。テーブルの上にあるものを全て下におろし、ティッシュを手に取った。もはやメシなどどうでもいい。次に現れた奴から一匹ずつ叩き殺してやる。


それから1時間ほど小バエとの戦いに没頭していただろうか。奴らがテーブルに降り立つ度にモグラたたきの要領で叩きつけることをひたすら繰り返した。初めのうちは空振りが大半だったが、根気強く続けていく内に徐々にヒット率は上がり、次第にティッシュの裏は小バエの死骸でいっぱいになっていた。

不思議だな、とつくづく思う。普段は戦争反対なんて言いながら虫を大量に殺すことにはなんら躊躇いを感じていない。もし昆虫裁判なんてものがあれば俺は確実に死刑だろうな、と1人で笑った。

それにしてもこないだは犬のウンコ、今回は小バエ大量虐殺、一体こんなブログ誰が読むというのか。こんな調子では『キミノトナリ。』には一生勝てやしないだろう。


images (94)

6月26日(木)

つい10日ほど前、『わたしが見た未来』の作者の新作が入荷した。

『天使の遺言』と題されたその本は作者の自伝的内容になっているのだという。ざっと中身を確認すると漫画ではなく全て文章で書かれていた。内容的に大きく展開するのもなあ・・と思い新刊台の端っこに『わたしが見た〜』と並べてさりげなく陳列していたのだが、驚いたことに在庫分は全て売れてしまった。同時に『わたしが見た〜』の方も残りわずかになっている。

追加の数をどうするか悩ましいところだった。これひょっとして7月5日が何事も無く過ぎ去れば一切売れなくなるんじゃないか?どうもそんな気がする。しばらく考えた結果、両方ともかなり抑えた数で追加をかけた。

全く人騒がせな本だ。何事もなくさっさと過ぎ去って人々の記憶からも消え去ればいいと思う。夢の中でお告げを聞いた?そんな根拠の無い予言なんかより世界情勢のほうが気がかりで仕方がない。


品出し、売場整理、朝スタッフとミーティング、注文、メール処理など。『成瀬は天下を取りに行く』が遂に文庫化され早速売れている。この夏新潮文庫はこれをイチオシにしていくのだろう。変わり映えのない夏文庫フェアはもはや意味を成さない。たまには大幅にラインナップを変えてみたらいいのに。

ブログに記すほどでもない毎日が過ぎていく。特筆すべき出来事はほとんどない。それは良いことなのかもしれないけれど。

images (93)

6月25日(水)

休日。

とうとう昨日でジークアクスが終わってしまった‥。

もう来週から観られないと思うと残念で仕方がない。一言感想を言うなら、最高に面白かった!全く予想がつかない展開で毎週驚かされたが、最終回は見事にまとめ上げたなという感じだ。出来ることなら2クールやってほしかったな、という気もするがグッと凝縮しているためか無駄が無く物語のテンポも良かったと思う。

それにしてもシュウジは結局どこへ行ったんだろう?マチュ達はこれからどうするのか?続編やってほしいけど多分無いんだろうなあ。ひとまずオープニングに出てくる主要キャラたちがほとんど死ななかったのは良かった。そういえばバスク・オム、あれ何やったん?

今はちょっとしたロス状態だ。週に1度の楽しみが無くなってしまい途方に暮れている。
いつもの喫茶店、物語の余韻に浸りながらアイスコーヒーを啜っているとスマホがLINEの着信を伝えた。差出人は地元の友人『ホサカ(仮名)』である。


『ふと昔一緒にアバター観に行ったの思い出してたわ。確認したら2009年。もう16年も前って信じられるかよ』


そんなこともあったな、と思い出す。その頃まだ結婚前のホサカと一緒によく映画を観に行っていた。『アバター』は確か専用の3Dメガネを配布されてそれで観たはずだ。アバターたちの造形は気持ち悪かったが話は面白かった。主人公が現実世界を捨ててアバターとして生きることを選択するラストは大いに共感したものだ。福山雅治と堤真一の『容疑者Xの献身』も観た。綾瀬はるかの『ハッピーフライト』も、高倉健の最終作『あなたへ』も。ほとんどは面白かったが、『ドラゴンボール 神と神』の時だけは2人ともさんざんボロクソにこき下ろしたことを覚えている。

ホサカと観に行く映画は何も考えずに楽しめるような内容のものが多かったように思う。行くのは大体が土曜日の午前。そして観た後は昼飯を食べながら映画の感想を語り合うのが常だった。

まだ2人とも20代だったか。無邪気ないい時代だった。未来は明るかった。『そのうちきっと何とかなる』、何の根拠もなくそんな風に思えていた。

あの頃には二度と戻れない。随分と年をとり、『そのうちきっと何とかなる』なんてもう一切思うことは出来ない。だが、今は今を良くするために足掻いていくしかないのだ。

新たな楽しみ、新たな生きがいを見つけていこうか。
images (92)

このページのトップヘ