破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

2025年08月

8月30日(土)

あぁー、疲れたな‥。

今日もようやく仕事が終わった。いつもと特に変わらないのに何故かやたら疲れた気がする。閉店間際まで大勢の人が店内に残っていたからだろうか。それとも単に年齢的なものか。いずれにせよ身体は怠くて、今すぐにでも倒れ込みたいような気分だ。

棚卸し、リニューアルと来月以降も落ち着かない日々は続きそうだ。体調を崩してしまわないように気をつけておかないと。とにかく休める時はしっかり休もう。一人で抱え込まないようにしよう。楽しいことだけを考えよう。

先日の財布紛失の際、交通費を貸してくれたアルバイトにもようやく返金することが出来た。キャッシュカード、クレジットカードも再発行したものが届き一安心だ。あとは免許証と保険証の手続きを早く行わないと。財布を失くすとめちゃくちゃ面倒だと昔知り合いから聞いたことがあったが、本当だったんだなと身を持って知った。マイナスをゼロにする作業だけであちこち奔走し、すっかり消耗しまった。もうこんな思いは二度としたくない。

それにしても俺の財布はどこへ行ってしまったのだろう。最後に使ったのは昼休憩で行った飲食店だ。そこから数分かけて店に戻り、夜に紛失が発覚するまでは一歩も外に出ていない。となるとやはりその道中で落としてしまったのか。そう思って翌日から何度も同じ道を歩いて探したが、ついぞ出てくることは無かった。警察からも何の音沙汰も無い。

今頃俺の財布を拾った奴がのうのうと美味いものでも食っているのだろうか。金だけ抜き取って、残りはどこかの草むらにでも投げ入れてしまえばまず見つかることはないだろう。

下ろしたばかりの現金64000円がパーになったのは本当に痛かった。最悪だなと何度も思った。だが、冷静になって考えるとそんなことは大したことではなかったのかもしれない。

世界に目を向けてみれば戦火の中で爆撃から毎日逃げ惑っている人もいる。家族を無惨に殺された人もいる。そんな人たちに比べたら、たかが数万の紛失で『最悪』なんて言える俺はなんて恵まれているのだろう。

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8月28日(木)

早いもので今月もあと数日で終了だ。

何をしたか思い出せないくらいの早さだった。特に後半は財布紛失のショックでほぼ茫然としていただけだったような気がする。

もう2025年も残り4ヶ月か。ただただ時間だけが過ぎていく。

書店員としての所感になると、今月は兎にも角にも『国宝』に尽きる。上下巻の原作文庫は映画公開後からずっと売れ続けていたが、ここにきて更にその勢いが増しているようだ。最近は歌舞伎関連の本まで売れ始めている。3時間超えの映画が記録的なメガヒット、これはもう立派な社会現象といってもいいのではないだろうか。いやー、凄い。こんな事態になることを公開前に誰が予想できただろう。

あとはこちらも映画きっかけで『鬼滅の刃』
が再び売れていることだろうか。もうすっかり落ち着いていたが、ここにきての人気の根強さに驚かされた。

だがトータルでいくとコミックの売上は全国的に厳しい状況だ。特に少年コミックの落ち込みが激しい。『呪術廻戦』『ヒロアカ』といったビッグタイトルが軒並み終了した影響は顕著に現れているようだ。値上げも相当痛い。もはや500円で買えるコミックなど皆無なのだから。

10月からはまた最低賃金が大幅アップになる。ますますシフト作りが難しくなるのだろう。いや、マジでやっていけるの?

これから書店はどうなっていくのだろう。
もはや不安しかないが、やれるところまでやってみるつもりだ。




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財布紛失、追記。

財布を落としたことに気が付いたのは前述通り20日(水)の夜、職場でのことだった。帰りの交通費こそ学生バイトに借りて事なきを得たものの、その日はカードも現金も定期すら失い完全に途方に暮れてしまっていた。かろうじてペイ払いはスマホで出来るものの、さすがにそれだけでは心もとない。もちろん翌日からも普通に仕事はある。

結局実家に頭を下げてお金を幾らか借りることになった。電話口で母親は言う。

『あんた明日何時に仕事行くの?じゃあその時間に○○駅にいときなさいよ。お金持っていってあげるから。わたしは仕事があるからお父さんに行ってもらうように言っておくから』

母親は数年前から週5で学童保育のアルバイトをしている。

『‥分かった、ありがとう‥』

『ほんと気をつけなさいよ、全く‥』

電話は切れた。

礼を言いながら内心では『父親が来るのか‥』と思っていた。色々あって父親とは昔から折り合いが悪い。実家に帰る時も最低限の挨拶だけでまともな会話などほとんどないのが常だった。
たまにリビングなどで偶然2人きりになると、俺は気詰まりですぐに自室に引き上げてしまう。父親もそんなこちらの態度に気がついていたのだろう、いつしか向こうから話しかけられることも無くなっていった。

そして翌日。

約束の時間に○○駅の改札で待っていると、階段からゆっくり降りてくる父の姿が目に入った。若者やサラリーマン達が颯爽と駆け下りていく中、父の動きはよりいっそう緩慢に見えた。その姿はもはや完全に老人で、そんな人にわざわざお金を持ってこさせてしまったことを俺は後悔した。

父はこちらに気が付くと力なく手を振った。『わざわざごめん』、俺が頭を下げるとその手を“こっちに来い”と言わんばかりにクイクイと動かす。はっきりとは聞き取れなかったが、『お金だから‥ここは人が多いから‥』と繰り返しているようだった。現金を渡すから人がいないほうが良いということなのだろう。ここ数年で父は滑舌も悪くなった。

端のほうに移動し、父から封筒に入ったお金を受け取った。

『お母さんが言ってた通り○万円入ってるから。確認して』仏頂面のまま父は言う。

言われた金額より実際は2万円少なかったが、俺はもう何も言わなかった。きっと数え間違えたくらいのことなのだろう。それよりもショックだったのは間近で見る父の姿があまりにも老けていたことだった。顔は一面シミに覆われ、髭ももみあげも真っ白。恰幅の良かった身体はここ10年ほどで痩せ細り、身長も随分と縮んだように見える。

思えば実家に帰った時も俺は父の方をろくに見ていなかった。気まずさから義務的に挨拶だけした後はずっとテレビのほうを見ていた。そうやって現実から目を逸らしているうちに父はすっかり老人になってしまっていた。

『わざわざほんと悪かったね。助かります、ありがとう』

やるせない思いを打ち消すようにそう言って頭を下げた。父はもごもごと何かを口にしたようだったが、俺には聞き取ることが出来なかった。そしてもう一度頭を下げ、ホームへの階段に向かう。

こんな時ですら、俺は父の目を見ることが出来なかった。

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8月22日(金)

しかし参った・・。

まさかこの年になって財布を落とすとは思ってもみなかった。自分の愚かさに、迂闊さに心底泣けてくる。

20日の退勤時に気が付いて以降、遺失物届、デベロッパーや利用した店への確認、周辺捜索と出来ることは全てやったが、財布が出てくることはついになかった。あまりやりたくはなかったが事務所のカメラも確認済みだ。

当日は完全に茫然自失となっていた。なんせクレジットカードやキャッシュカード、免許証はじめ、日常で使うほぼ全てのカード類が入っていたのだ。おまけに前日下ろしたばかりの現金64000円も。

その時点でやれることは全てやったのであとは帰宅するしかないのだが、定期券も当然財布に入れていたわけで帰りの交通費すら無い。結局その日はアルバイトにお金を借りてアパートまで帰った。電車の中ではずっとうなだれていた。財布が無いというのはこんなにも情けなく不安なものなのか。まるで全裸で街に放り出されたような気分だった。

そこから今日にいたるまでに金融系カードの停止と再発行を済ませた。幸い他の人間に使われている形跡は無かったようで、不幸中の幸いといったところだろうか。

今日は休みで、この後定期の再発行に行く予定だ。保険証、免許証なども追々やっていく。現金64000円はおそらくもう戻ってこないだろう。店用備品を購入した際の未精算レシートも含まれていたから、トータルでいくとマイナス額7万円は下らないはずだ。正直これは痛すぎる‥。本当に、本当にタイミングが最悪だった。このキャッシュレス時代に俺はなぜそんな大金を下ろしてしまったのだろう。これから引き落としは少しずつにしておこうか。

まあ、過ぎたことはもうどうしようもない。今後の勉強代だと思うことにしよう。いささか高すぎる気もするが‥。








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仕事も無事終えて昨日のブログの続きを書こうと思っていたのだが・・・


最悪なことに財布を紛失してしまったようだ。


マジで終わってる。
今は何も考えられない。


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