仕事終わり、駅に着くと改札付近が何やら騒がしい。何だろうと思い見てみると、ワイシャツ姿の若いサラリーマン二人が駅員に取り囲まれていた。

少し離れた所には20代くらいの女性が二人。こちらも別の駅員と何かを話している。

漏れ聞こえてくる会話によると、サラリーマン二人組の片方が女性を盗撮した疑いがあり、駅員に話を聞かれているようだ。女性たちが通報したのだろうか。犯人と思われるサラリーマンは必死で否認していた。『いや、違うんですって、盗撮なんかしてませんて!』

周りを見回すと、他の乗客も足を止めて事の顛末を見守っている。自分も少し気になったが、疲れていたし帰ることにした。サラリーマンの声がまだ響いている。『いや、だから撮ったりなんかしませんって!』

結局あのサラリーマンは盗撮していたんだろうか。知るよしもないが、正直小太り、メガネ、ボサボサの頭髪の外見を思い出して『ありゃあクロだな。』と思ってしまった。もちろん他人を外見だけで判断しては良くないに決まっている。しかし、外見を度外視して物事を判断出来る人が世の中にどれくらいいるだろう。

残酷だが、もしこのサラリーマンが福山雅治のようなルックスなら『この人が盗撮なんかするはずないだろ!美人局だろお前ら!』となってしまう。逆に小太り、メガネ、ボサボサ髪のあの男は例え冤罪だったとしてもクロ認定されたに違いない。理不尽だが、世の中こんなことばかりだ。

極端な話、福山雅治なら全裸で街を歩いても罪にならないだろう。それどころか、『福山の新しいファッション、クールじゃん!』となり、男たちはみんなチンポを出しながら歩くようになるはずだ。

バカげた妄想にふけっているうちに、今年ももう半分終わってしまった。