12月6日(火)

仕事を終えスマホをチェックすると地元の知人『キングさん』(仮名)からLINEが届いていた。

『年内どこかで飲みに行かないか?基本的に水曜が行ける日なんだが都合はどう?』

キングさんは5つ年上の男性だ。学生時代のバイト先で先輩として出会い、もう20年以上の付き合いになる。お互い音楽が好きでビートルズやUKロックの話をしている内に意気投合し、以来何度も飲みに行く仲になった。バイトを辞め就職した後も年に数回は会っている。

スマホの画面を見ながらどう答えようかしばらく考えていた。

いつもこんな風に突然誘いのLINEが来て、日程を調整するのが常だ。キングさんと会って色々話すのはもちろん楽しいのだが、最近はやや億劫さを覚えるのも事実だった。その理由はここ数年嫌な気分になることが多いからだ。

まず、会うまでのハードルが高い。自分はサービス業という職業柄、遅番(昼から閉店まで)がほとんどで連休は月一回あるかどうかだ。よって誰かと飲みに行くなら必然的に単休の夜に外出することになる。

これがもう面倒くさい。若い時なら平気だったが、休みの夜なんてもう今は家でじっとしておきたい。

それはまあ誰と会う場合も同じなので仕方ないとして、苛々するのがキングさんが時間にかなりルーズなことだ。あらかじめ待ち合わせ時間を向こうから決めておきながら、その時間ちょうどにキングさんが現れることはまずない。こちらは常に5分前には着いているが、きまってそのあたりで『すまん、ちょっと遅れるわ~』などのLINEが入る。理由は仕事が長引いたり、電車に乗り遅れたり様々だが、毎回この調子だといい加減先輩とはいえ腹が立ってくる。更に怒りを増幅させるのが、キングさんは翌日自分が休みの日にしか飲みに誘ってこないということだった。つまり、こちらは翌日仕事でやや憂鬱…、向こうは翌日休みでテンションもバッチリ!!心の余裕が違いすぎるのである。

『すまん、遅れるわ~』その呑気な文字を見る度にいい加減キレてやろうかとも思う。だが相手は先輩だし、飲みに行く前に空気を悪くするのもなー、と毎回躊躇ってしまうのだった。

スケジュールをチェックする。今月水曜は全て仕事と予定で埋まってしまっていた。拍子抜けしたような、でもどこかホッとした気持ちでキングさんにLINEを返す。

『すいません、水曜は全て行けそうにないですねm(_ _)m』

こんな風に断りのLINEを送るときまって返信はなく既読スルーで、そのことにも苛つくのが常だった。


うん、もう会わんほうがええね笑


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