5月28日(火)
相変わらず仕事帰りはゆらゆら帝国『ひとりぼっちの人工衛星』を聴き続けている。この情緒的になりすぎない、あくまで平熱な感じが仕事終わりの身体にちょうど良い。
『静まれ嵐 静まれ暴力 静まれ意味のない争い』
いつになくストレートな坂本慎太郎の歌詞が胸に迫ってくる。この曲を聴くといつも、実際に自分が人工衛星になって地球を俯瞰で眺めているような気分になる。世界中の争いなんて全て無くなってしまえばいいのに、とも思う。どうやらそんな日は永遠に来そうにないけれど。
この曲が収録された『空洞です』というアルバムは、現在では邦楽ロックの最高傑作として評価されているという。確か発売されてすぐに買ったはずだが、その時は何度か聴いただけで放置してしまっていた。当時の自分の耳ではよく意味が分からなかったのだ。だからアルバム終盤にこんなにいい曲が入っていることに最近まで気が付かなかった。
雨が降り続いて、いつもの平日以上に店は閑散としていた。夕方ごろようやく小雨になり少し持ち直したが、結局は平凡な売上で終わってしまった。おかげで会議の資料をまとめることが出来たが、これだけ低い売上が続くと気分も滅入ってくる。いい本を仕入れて確固たる売場を作り上げて、それでなんの反応もないのはやっぱり寂しい。
朝の主婦たちはもうほぼ全員がマスクを外した。素顔で普通に接客をしているのを見て、随分懐かしい感覚だと思う。そりゃそうだろう、改めて考えてみると実に4年ぶりのことなのだから。
主婦たちのマスクなしの顔、それはやはり4年という月日の重みをいやが応でも思い知らされるものだった。
もちろん、そんなことを思う自分の顔もしっかり4年分年をとっている。分かっているからこそ、俺は今もマスクを外さない。
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