さっさと今の店を出たい。 : 破滅に向かって～書店員日記～

8月22日(木)

通勤中の電車内でコガネムシを見かけた。

だいぶ弱っているのだろうか、その足取りはノロノロと頼りない。誰かに踏まれないかなんとなく気になって見ていたが、運良く扉の前までたどり着いたようだった。昼前で乗客が少ないのが幸いしたのだろう。

次の駅に到着し扉が開いた。これでようやくこいつも解放されるだろう、よかったな。そう思った矢先、乗ってきた男に踏まれてコガネムシは死んだ。

8月23日(金)

久々に予定の全く無い休日だった。最近は人と会うことが続いていたが、やっぱり１人で過ごす休日が一番落ち着くな、と改めて思う。誰かと会うのも楽しいが気疲れしてしまうことも多いから。

Amazonプライムでドラえもんの映画をずっと観ていた。それに飽きたら届いたばかりの豊田道倫『ピアスとギター』を流して横になっていた。やっぱりタイトル曲が一番好きかな。

8月24日(土)

出勤早々エリアマネージャー(以下AM)の店に電話をかけた。

先日“誘い笑いのマサ”から聞いた話を報告するためだ。本来ならすぐにでも電話したかったのだが、AMはこのところ有休を使って休んでばかりいるようでなかなか捕まえることが出来なかった。

マサの話をそっくりそのままAMに報告する。Z書店が退店するのはさすがのAMも驚いていたが、俺の異動が無くなる可能性については懐疑的だった。

『それこそマサが勝手に言ってるだけだろ？まあ確かにまだ辞令はおりないけど本社は了承してるんだから。また僕からもどうなってるか確認してみるから』

そして、忌々しそうにこう付け加えた。

『全く、相変わらずゴチャゴチャとうるさい野郎だな。管轄外のやつがコソコソ嗅ぎ回りやがって』

AMとマサは昔から犬猿の仲で知られていた。

とにかく今は１日でも早く辞令がおりてほしい。もういい加減今の店を出たいのだ。いい機会なので引っ越しも考えている。全てを一新させたい。

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