9月10日(火)

休日。

最近はやたらと忙しく、休みの日でも喫茶店にこもって仕事を片付けたりしている。不本意だがリニューアルやら競合対策やらで通常業務がちっとも終わらないのだからやむを得ない。今日も午前中はいつもの喫茶店で資料作成に勤しんでいた。思った以上に時間がかかり、アイスコーヒーをお代わりする。

作業に目処がついたのはちょうど昼前だった。少しばかりの達成感と共に、ちょっと豪華な昼飯でも食べようかという気分になった。気まぐれで喫茶店のすぐそばにあるとんかつ屋に初めて入ってみる。存在は知っていたがいつもはなんとなく素通りしていた。

カウンター席に案内され、ランチメニューの中から『ミックスフライ定食』(1600円)を注文した。内容はヒレカツが２つにエビフライ、メンチカツが１つずつという豪華な布陣だ。これは期待できそうだな…そう思いながら待っているとしばらくして料理は運ばれてきた。

『キャベツと味噌汁はお代わり自由です』
そう言い残して店長らしき年配の男性は去っていった。

どうやらご飯はお代わり出来ないらしい。少し残念に思ったものの目の前にはメニュー写真通りの豪華なフライたちがいた。ヒレカツは大きく、メンチカツは分厚く、エビフライの横には器にたっぷり入ったタルタルソースが添えられている。まあこれだけあればご飯お代わりせずとも満腹になるだろう。

実際フライはどれも期待に違わぬ美味しさだった。それどころか味噌汁も、備え付けのキャベツでさえもやたらと旨い。しかしこれだけの内容をたった1杯のご飯でやりくりしないといけないのはあまりにも酷だよなあ…そう思っていると…

『すいません、お代わりー！』
『ボクも、大盛りで！』

隣のテーブル席のビジネスマンたちが慣れた様子で店員を呼んでいる。キャベツでもお代わりするのかな、と横目で見ると彼らはご飯のお茶碗を差し出していた。『はいよー、お代わり普通１、盛り１入りました～！』店員も威勢良くそれに応える。

あれ？お代わり出来るの？

確かに店長らしき男性は『キャベツと味噌汁はお代わり自由』と言ったはずだ。言い間違えたのだろうか？それとも俺が聞きそびれた？もしくは俺の頼んだ定食は対象外のパターンか。メニューに記述がないか確認したいが、注文時に全て下げられてしまっていた。

モヤモヤしながら食べ進めている間もあちこちのテーブルから『ご飯おかわり～！』の声が飛び交っている。どう考えても有料の雰囲気では無さそうだった。となるとやはり俺の定食も普通にご飯お代わり自由なんじゃないか？

今ならまだ間に合う。確認したくてたまらないが、どうしてもその勇気が出ない。店員は忙しく歩き回っておりわざわざ呼び止めるのもどうにも気が咎める。それに、いざ聞いて『あーそちらの定食はお代わり対象外ですねー』などと冷たくあしらわれてみろ？目も当てられないだろう。

ひょっとして、あの店長俺が一見客だからあえて黙っていたのか？そうすることでご飯の消費を抑えてコストカットする魂胆か。確かにそういう小ずるいことをやりそうな顔してたよ、あれは。俺が何にも言ってきそうにないから騙したんじゃないか？
つ
ただ確認出来ないだけでネガティブな妄想すら膨らんでしまう。『いや、聞きゃあすむ話じゃねえかよw』と笑う人もいるだろう。けれど、それがどうしても出来ない。『すいません、ご飯お代わり出来ます？』そのたった一言が、言えない。

結局そのまま食べ終わり帰宅した。部屋に戻って即座にスマホをチェックする。ホームページに記載は無かったがGoogleレビューを見る限り、やはり全ての定食で『ご飯、キャベツ、味噌汁』がお代わり自由のようだ。

やっぱりそうだったんじゃないか。

何杯ご飯食えたよ？フライで軽く4杯、備え付けの漬け物で2杯、味噌汁で1杯、タルタルソースの残りで1杯、少なくとも7杯は固かっただろうに。

クソッタレが！！
一見客だと思って舐めやがって！！！

また次必ず行こう。そして注文時にちゃんと確認するんだ。『この定食、ご飯お代わり出来ますか？』と。

絶対にこの雪辱を晴らすぞ、俺は。


皆さん、こういう時聞いたり出来るタイプですか？
やはり私が少数派なんでしょうか笑？

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