破滅に向かって~書店員日記~

アラフォー独身書店員のブログです。 よろしくお願いいたします。

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先月からずっと仕事にかかりっきりでいる。

色々と考えることが多すぎて通常業務もちっとも進まないし、休みの日も常になんとなく落ち着かない気分でいる。

なんとか頭の中を空っぽにしたくて、部屋にいる時は大抵『ドラえもん』を読んでいた。本棚から適当に2.3冊取り出しパラパラと眺め続ける。当然全て知っているエピソードばかりなのだが、読んでいる間だけは心が少し安らぐのを感じた。

好みはやっぱり『大長編』より通常回のドラえもん。あくまで日常世界で起こるドタバタが楽しいのだ。

きっとこのコミックスたちは死ぬまで手放すことはないんじゃないだろうか、そんなふうに思う。

そういえば、次の映画は『海底鬼岩城』のリメイクらしい。原作コミックは昔から実家にあったのでよく覚えているのだが、テキオー灯で海の奥底を地上のように動くのび太たちにワクワクしたものだ。プランクトンで作られた食事がやたらと美味しそうだったこともよく覚えている。

だが、ラストだけは当時からあまり好きではない。誰かが犠牲になったおかげで他の皆は助かりました、たとえストーリー上仕方なかったとしてもこのパターンは素直に喜べない。

そのあたりもリメイクでどうなるか。

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9月30日(火)

休日。

昨日は疲れすぎて、帰宅するなりシャワーも浴びずに倒れ込むように寝てしまった。ここ1週間ほどは棚卸し準備にかかりっきりで相当に疲れが溜まっていたのだと思う。夜中一度も目を覚ますことなく朝まで眠り続けていた。

モソモソと起き出し、支度をしていつもの喫茶店へ向かう。予定も一切無いのが今は心地良い。久しぶりに自由の身になれたような、そんな気分だった。

帰宅後は溜まりに溜まった家事をひたすらこなした。掃除、洗濯、洗い物。荒廃しきった生活を一つずつ立て直していかなければならない。ブログもまたぼちぼち書いていこうと思っている。

つくづく棚卸しは本当に疲れる。毎年前々日から当日までの3日間はほぼ朝から晩までの通し勤務となるのだが、これが中年の身体には相当に堪える。睡眠時間も削られるし神経もつかう。もう少し楽なやり方は出来ないのかとも思うが、なかなか上手い答が出てこないのが実際のところだ。


ようやく一段落し、しばらく読みかけになっていた文庫本を取り出した。講談社文庫『方舟』(夕木春央著)。発売から1年以上たつがいまだに売れ続けていて、どんなものかと買ってみたのだった。

内容は山奥の地下建築に閉じ込められた男女グループが殺人事件に巻き込まれる、というもの。

一気に最後まで読み進めたが、これがもうめちゃくちゃに面白かった!何を書いてもネタバレになるため詳しく書けないのだが、とにかくラストの展開は大げさでなく度肝を抜かれた。感想を言葉にするとこんな感じだ。


『いやいやいやいや、ええ〜!?ええ〜!!?こんなのアリィィ!?いやアカンアカン!!!これはアカン!!!!』


このラストはもう、色んな人に読んでもらいたい。いやほんとに。

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9月16日(火)

休日。

このところ疲れ切って休みでも何も出来ないでいることが多い。食料品の買い出し、洗い物、洗濯と最低限の家事をこなした後は力尽きて横になってばかりだ。そうやって一日中何もしないでいても一向に疲れが取れた気がしない。棚卸し、リニューアルと今後控えている厄介事を思うと不安ばかりが募って全く心が落ち着いてくれないのだ。

心身ともに絶不調といったところか(いつもだが)。早くここから抜け出したいところだけど。

俺はいつだって悪い方に考えすぎる。一見順調に見えるような時でも、今に悪い方へ流れていくんじゃないかとすぐ不安になってしまう。そんな風に考えてしまうのは相応の嫌な思いを子供の頃からずっとしてきたから。“何をやっても俺は絶対に上手くいかない”、もうずっと前からそんな考えが脳裏にこびり付いている。これはもう取れることはないのだろう。

三つ子の魂百まで、というやつだろうか。
今さらどうこう言っても仕方のないことだけど、俺はもっと自分を肯定して生きていきたかった。生まれてきて良かった、と心から思いたかった。誰かと喜びを分かち合いながら生きていたかった。

なんてな。全く、人生半分以上過ぎた中年が何を言ってるんだか。

寝転んだ態勢のまま、昨日買ったばかりの伊岡瞬『朽ちゆく庭』(集英社文庫)を読む。この人の作品はほとんど読んでいるが、その度に世の中には悪意に満ち満ちた人間が普通に生活していることを思い知らされる。もし彼らにエンカウントした挙げ句ターゲットにされてしまったら、俺の人生はたちまち崩壊するのだろう。今おおむね平穏に生きていられるのもたまたま運が良かっただけだ。つくづくそう思う。

今回も疲れ切った身体にはなかなかにハードな内容だったが、ぐっと堪えて最後まで読み通した。伊岡瞬の作品は登場人物たちがどれだけひどい目にあっても、必ず最後に救いを持たせてくれるから。









しかしこれが税込みで1056円。いや文庫だぜ?マジでもういい加減にしてくれ。 20250920_211414062

8月28日(木)

早いもので今月もあと数日で終了だ。

何をしたか思い出せないくらいの早さだった。特に後半は財布紛失のショックでほぼ茫然としていただけだったような気がする。

もう2025年も残り4ヶ月か。ただただ時間だけが過ぎていく。

書店員としての所感になると、今月は兎にも角にも『国宝』に尽きる。上下巻の原作文庫は映画公開後からずっと売れ続けていたが、ここにきて更にその勢いが増しているようだ。最近は歌舞伎関連の本まで売れ始めている。3時間超えの映画が記録的なメガヒット、これはもう立派な社会現象といってもいいのではないだろうか。いやー、凄い。こんな事態になることを公開前に誰が予想できただろう。

あとはこちらも映画きっかけで『鬼滅の刃』
が再び売れていることだろうか。もうすっかり落ち着いていたが、ここにきての人気の根強さに驚かされた。

だがトータルでいくとコミックの売上は全国的に厳しい状況だ。特に少年コミックの落ち込みが激しい。『呪術廻戦』『ヒロアカ』といったビッグタイトルが軒並み終了した影響は顕著に現れているようだ。値上げも相当痛い。もはや500円で買えるコミックなど皆無なのだから。

10月からはまた最低賃金が大幅アップになる。ますますシフト作りが難しくなるのだろう。いや、マジでやっていけるの?

これから書店はどうなっていくのだろう。
もはや不安しかないが、やれるところまでやってみるつもりだ。




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100分で名著の夏目漱石特集を買ってパラパラと眺めている。

今回気になったのは『明暗』だ。購入したのはまだ20代の頃だったと記憶しているが、やたらと長く話も中々進まず(これが本当に進まない)、何年もかけてようやく読み終わったのを覚えている。特に面白いとも思えず文庫本は早々に処分してしまった。

真っ先に思いつく印象と言えばとにかく『ダラダラと長い』、これに尽きる。おまけに、やっとのことで物語が動き始めたと思ったら漱石の死によって強制終了。せっかく面白くなっていきそうだったのに、読者からしたらそりゃないよという話だ。もし最後まで描かれていたらどんな結末になったのだろう?

当時は苦痛でしかなかった読書だったが、今改めて読んだらまた違った印象を持つのかもしれない。近いうち買い直してもう一度トライしてみようか。


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